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小さな村の小さなダンサー
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2009年/オーストラリア/117分 配給:ヘキサゴン
◆8月28日より、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか 全国順次ロードショー |
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セラフィーヌの庭
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2008年/フランス、ベルギー、ドイツ/126分
配給:アルシネテラン
◆8月7日より、岩波ホールほか全国順次ロードショー |
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秋山 茂(元映倫外画審査員)
声を大にしてお薦めしたいまさかのオーストラリア映画。毛沢東夫人、江青の文化政策によりバレエ・ダンサーの候補として選ばれた少年が、山東省の貧農の家族たちと離別して、北京からアメリカへ渡り、世界有数のプリンシパルに登りつめるまでの姿を描いたトゥルー・サクセス・ストーリー。ツァオ・チーの抜群の踊りと、その振付に瞠目。ラストで涙、滂沱! |
浅香光健(浅香流演劇舞踊名取)
中国の名ダンサー、リー・ツンシンの自伝の映画化。思想も文化も異なる中国とアメリカの間でけして自分の夢をあきらめず、彼の愛する父母や妻への苦悩を克服しながら勇気ある決断と行動をドラマチックに描く。劇中踊られる『白鳥の湖』をはじめ数々の本格的ダンスナンバーに息をのむ。
奇跡のラストシーンと共にパワフルなダンスシーンは圧巻、見るものに大きな感動を与えてくれる。 |
白鳥 哲(俳優/声優、映画監督)
時代に翻弄されながら引き裂かれた親子の絆。そして、バレエの世界での成功を経ての親子の再会。その再会の場面には誰もが心揺さぶられるだろう。家族を想う一途な気持ちは時代が違っても国が違っても一緒である。むしろ過酷な状況だからこそ純化して伝わるのかもしれない。心震える感動作である。 |
藤原作弥(元日本銀行 副総裁)
人口13億の分母なら天才の数も多い筈。毛沢東政権下、江青夫人の文化政策でバレエの特訓を受けた僻村の一少年が才能を開花させ、研修留学先のアメリカで芸術の自由に目覚め亡命する。数々のバレエ名曲の舞台を背景に、引き裂かれた肉親への愛と故国への郷愁を描いた感動の実話。 |
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秋山 茂(元映倫外画審査員)
“セラフィーヌ“って誰?幼くして奉公に出され、中年からは家政婦として働きながら、ひたすら絵筆に没頭して、フランスの女性素朴画家として世に出たセルフィーヌ・ルイ(1864〜1942)の後半生を切実に描いた感動作である。
この作品で世界中から称賛されたというセラフィーヌを演じたヨランド・モローなる太っちょおばさん女優の存在感、その容姿、挙動の印象は、いつまで経っても消えそうにない。 |
後藤昭次(立教大学 名誉教授)
身よりもなく、他人の家や修道院で家政婦として働き、天使の声に動かされるままに描き出したというセラフィーヌの絵。それは彼女の生命と一緒に神がこの世に送り出してくれた賜物だったかも知れない。絵は祈りであり、信仰と人生の全てであった。だが、その天使の声は、心の病と無縁ではなかった。それもまた、天使が絵とともにセラフィーヌに贈った賜物であったろうか。彼女の絵と人生はゴッホを思わせる。
それにしても、セラフィーヌを演じた女優ヨランド・モローの文字通り真に迫る演技は観るものを動かす。貧しい掃除婦で絵描きの生き様は、こんなふうだったかと納得される力強い映像である。 |
白鳥 哲(俳優/声優、映画監督)
一人の天才的芸術家の孤独な末路にもの悲しさを感じた。神からの天啓は時として人には理解し難く、セラフィーヌの才能を最後まで信じた画商ウーデでさえも立ち入れないものだったのかもしれない。演出の視点も最後まで答えを示さず観察者の立場で表現していた。絵を愛する人達に特にお薦めしたい静かな秀作である。 |
藤原作弥(元日本銀行 副総裁)
フランスの異色の女性画家、セラフィーヌの生涯を描いた伝記映画。画商との関係を通じて、才能と精神の“高揚と破壊”のドラマが淡々と綴られる。ゴッホの狂気、ルソーの素朴、山下清の緻密…にも似てセラフィーヌは色彩豊かな自然を図案化して見せた天才。自然から自然に還る一人の人間を描く背景の自然がまた美しい。カメラワークを含め久し振りにフランス映画らしい映像芸術を堪能した。 |
山形泰雄(元株式会社松屋 副社長)
実在の女性画家セラフィーヌの生涯は奇跡に満ちている。マルタン・プロヴォスト監督がこの女性画家の生涯を、繊細に、愛情溢れる目で描いた。絵画を学んだ事も無く、画材も全て自ら考案した物。家政婦をしながら、ひとり絵を描き、人に見せることも無い。その作品がドイツ人画商ウーデの目に偶然留まり、彼が世に紹介したのも奇跡としか言い様が無い。それもセラフィーヌ48歳の時と聞けば驚くばかりだ。この数奇な運命の天才画家を演じるヨランド・モローが、迫真の演技で魅了する。彼女が歩むパリ郊外の風景の映像がたまらなく美しく、目を奪われる。完成度の高い名作である。 |
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必死剣鳥刺し
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2010年/日本/114分 配給:東映
◆7月10日より、全国にてロードショー
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パリ20区、僕たちのクラス
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2008年/フランス/128分 配給:東京テアトル
◆6月12日より、岩波ホールにてロードショー
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馬場 彰
(株式会社オンワードホールディングス 名誉顧問)
鳥刺しを披露するラストシーンは圧巻である。藤沢周平と平山秀幸監督の組み合わせに大いなる期待を寄せたが、見事な出来栄えである。藤沢作品は静謐が基本だが、それなるが故の、動が際立つことでメリハリ満点。久し振りの平山監督、豊川悦司、池脇千鶴に拍手喝采である。 |
後藤武久(文化・スポーツアナリスト)
藤沢周平作品7本目の映画化。中級武士の決して報われることのない運命の不条理に立ち向かう物語。極めの細かい展開でテンポよく進み、主人公(豊川悦司)の寡黙で静謐なところを浮き立たせることで、最後の戦いの激しさを際立たせている。長い闘いの結末はどのように迎えるのか、観客は固唾をのむ思いで観る。 |
藤原作弥(元日本銀行 副総裁)
アメリカ映画からステレオタイプの西部劇が消えたように、日本映画の時代劇も、単なるチャンバラではなく、テーマ意識を持った問題作が増えてきた。この作品も藤沢周平の秘剣シリーズでありながら、海坂藩という一国の政治腐敗や権力抗争を背景に「組織と人間」の非常な人間関係を描いた武士道残酷物語。
ラストの大殺陣の場面は腑瞰やクローズアップを駆使した凄惨なシーンだが、淡い恋のエピソードや庄内平野の四季の美しさなどで救われている。 |
松川和子(生活思考家)
藤沢周平隠し剣シリーズ『孤影抄』の中の短編小説「必死剣鳥刺し」は、彼の作品の中では異色なので映画ではとても興味があった。平山秀幸監督は、原作を踏まえながらも一人の剣の達人を軸に、一種の武士道残酷物語として海坂藩内の農民の悲劇も巻き込んで格調ある時代劇に仕上げた。藩主を操る中老役の岸部一徳、特に三左エ門を密かに慕う里尾役の池脇千鶴は、この映画の香りを伝えて、終始素晴らしい演技。その目線は何を見たのか。愛する人の狂気の果ての斬り合い凄さは息を呑む15分であったが。 |
山形泰雄(元株式会社松屋 副社長)
豊川悦司が主役、兼見三左エ門を渋く演じて見せる本編は、藤沢周平文学独特の武士の正義感、潔さ、死生観をたっぷり味あわせてくれる。剣の達人として重用される主人公が、藩のためを思って犯した罪を一生背負っていく生き様を描く。最期に見せる必死剣を振るう場面は正に圧巻である。平山秀幸監督の太刀捌きが見事である。 |
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大黒 昭(株式会社アスピカ 会長)
元教師の体験を綴った小説を下敷にしたフィクション映画であるが、ドキュメンタリーと見紛うほどの現実感がある。これは登場人物に演技経験のない中学校の生徒達を起用したことによる。一年間の国語の授業を通じ、教師対生徒のディアローグは緊迫感がある。人種問題や言語の問題に焦点があるのはフランス映画らしいが「教育とは何か」についても考えさせられる。明確な結末を暗示していないが後味の爽やかな作品である。 |
後藤昭次(立教大学 名誉教授)
映画は教育を問う。今の世の中、どの国でも教育は大問題である。日本では毎年のように制度のあちこちが変化し、それが時には教員、親たちの反論を呼び、あるいは不安を煽る。しかし、パリ20区の公立中学校を写したこの映画のクラスに見るように、移民の多い社会では問題は一段と深く複雑な側面を見せる。
この映画を見て想うのは、学校教育の難しさである。教育現場の変化は、社会の変化を映す。その変化に柔軟に、そして迅速に、対応できなければ、事態の向上を期待することはできない。国も、社会も、人も、義務教育のあり方にもっと力を注いで良い。教育は、それほど困難で、忍耐もエネルギーも要る国家的事業だ。 |
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春との旅
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2009年/日本/134分 配給:ティ・ジョイ、アスミック・エース
◆5月22日より、新宿バルト9、
丸の内TOEIAほか全国にてロードショー |
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トロッコ
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2009年/日本/116分
配給:ビターズ・エンド
◆5月22日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー |
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後藤昭次(立教大学 名誉教授)
この映画は、ホーム・ドラマの一種と言って良いかもしれない。祖父の兄弟関係がたっぷりと描かれ、その描写はまるで現在の日本の世知辛い暮らしぶりの象徴を見るようでもある。
孫娘の春が言っていた、「いずれ年頃になって良い人が出来ても、オジイチャンと一緒に暮らしてくれる人でなかったら結婚しない」と。しかし、祖父の亡き後は、どこで、どんな人生を送っていくのだろうか。だが、それはまた別の物語になるだろう。 |
鳥越孝治(元株式会社ダイドーリミテッド 社長)
いま、日本は老人介護施設、老人ホームなどの難問が蓄積されている中、小林政広監督が原作、脚本を手がけ全力を傾けた秀作。仲代達矢演じる主人公の忠雄は孫娘の春と供に、今まで疎遠になっていた親類縁者たちの所に、今後の身の置き場所を求めて旅に出るのだが、この旅の中で否応もなく過去の事実や感情と向き合わざるを得なくなる。
日本を代表する名優の仲代達矢が渾身の演技で熱演、孫娘役には新人の徳永えり。この二人を囲む、名優、ベテランが揃って競演、実に見応えがある。雄大にして優しさに満ち溢れた佐久間順平の音楽も素晴らしい!家族の方と是非ご一緒に観ていただきたい作品である。 |
藤原作弥(元日本銀行 副総裁)
障害を負って働けなくなった老漁師が孫娘の春と寄る辺を求めて親族を訪ね歩く。「感動のロード・ムービー」と評すれば、陳腐に過ぎるほど感動の意味は奥深く、考えさせられる。
仲代達矢は、頑固一徹ながら飄々とした老残を好演。孫娘の徳永えりは巧まぬ純朴さを表現。芸達者な助演者もそれぞれ個性的。原作・脚本・監督の小林政広は、深みのある様々な人生模様の哀歓を見事に描ききった。 |
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馬場 彰
(株式会社オンワードホールディングス 名誉顧問)
名作『トロッコ』の映画化だが、この作品は原作をよく消化した新人監督・川口浩史が、それ以上のふくらみを持たせて感動作に仕上げてしまった。台湾ロケも大成功。静謐な進行の中でのラストの盛り上がりに、心地よい涙を抑えられなかったのは私だけではあるまい。川井郁子が奏でる冒頭のヴァイオリンにも揺さぶられる。
尾野真千子、ふたりの子役、そして台湾のおじいちゃんの熱演が見事なハーモニーを醸し出し、瑞々しい濃い緑を引き立てている。是非観賞してほしい作品である。 |
後藤昭次(立教大学 名誉教授)
試写が始まる時、監督がひとこと、ぼそぼそと挨拶をした。見たところ、中年ではない、まだ若い感じの、素朴な容姿に印象を受けた。そして試写が始まると私は、まもなく映像世界の中に引き込まれていった。ああ、堂々たる作品、なんと美しい情感を描き出していることであろうか。
この映画は、夕美子という二児の母、義父母、義弟夫婦、この家族の人間同士の関係の中でうごく心理や情緒の動きを描いたホーム・ドラマである。しかし並大抵のホーム・ドラマではない。くっきりと描き出された人物像が、溢れんばかりの情感をもって生動しているのである。これはまさに小津映画であり、しかも模倣ではない。川口監督はこれまで多くの作品で助監督をした経験はあるが、監督としてはこれがデビュー作だという。作品の完成度といい、映像に描き出された情感描写の円熟といい、とてもデビュー作とは思えない。台湾の緑豊かな山林を背景に、暮らしの中を静かに流れる時間に、落ち着いた映像が彩りを添えている。 |
鳥越孝治(元株式会社ダイドーリミテッド 社長)
芥川龍之介1968年発表の短編小説『トロッコ』。不朽の名作をモチーフに、心に響く家族の物語として見事に生まれ変わらせ、物語の魅力と鮮やかな印象が何十年経った今日でも決して忘れることなく記憶の中で輝きを放つ感動の映画に仕上げた川口浩史監督のデビュー作、才能の豊かさを感じる秀作である。
時に詩情豊かな音楽は、日本を代表するヴァイオリニスト川井郁子のその音色は観る者に深く優しく浸透し、感動を与えてくれる。誰にでもあった少年時代の不安、悲しみ、怒り、驚き、楽しい思い出を呼び起こしてくれ、なお、大切な時間を過ぎても心の中で育っていく感動の作品。川口浩史監督に心より感謝! |
山形泰雄(元株式会社松屋 副社長)
家族の物語を描いた見事な作品。小津映画の再来と言ったら言い過ぎだろうか?母と幼い息子の二人が、台湾人だった父の遺骨を持って父の故郷・台湾の祖父母のもとを訪ねる。日本語が話せる優しい祖父母に接し、亡き父の思い出を共有することで、崩れかけた家族の立ち直りを暗示する。
芥川龍之介の名作短編『トロッコ』を脚色した脚本も秀逸だ。固定したカメラアングル、抑えに抑えた俳優の演技は、観客の解釈に委ねた小津作品のような映像表現である。日本に帰ることになった母子と祖父の別れのシーンは、子供の「再見(サイチェン)」の一言だけ。残された祖父の後ろ姿に、孤独感がにじみ出ているラストは、秀逸の一語につきる。 |
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マイレージ、マイライフ
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2009年/アメリカ/109分
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
◆3月20日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国にてロードショー |
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すべて彼女のために
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2008年/フランス/96分 配給:ブロードメディア・スタジオ
◆2月27日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか
全国順次ロードショー |
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瓜生 孝(映像アナリスト)
ユーモアをはじけさせながら彩る大人の恋とエロス。アメリカ20都市の空を飛んで現代社会を切り取る男の哀愁。ほろ苦さが胸をしめつけずにはおかない。話も登場人物もスリリング。これぞ近年のアメリカ映画の水準を抜く面白さ。男は勝手な夢をみて、女は甘いヒロイズムを超えた現実に生きる。名匠ビリー・ワイルダーの味も蘇らせてくれたカナダ生まれの若き監督J・ライトマンが、これで今春のアカデミー賞を獲得すれば史上最年少の快挙になるかも。
たまらなく危機的状況にあるリストラ宣告の非常な場面を断罪的なタッチでリアルに見せるが、競演スター女優たちの美貌とおかしみ味をまぜた奮闘努力から不景気ぶっとばす感動を生み出している。 |
白鳥 哲(俳優/声優、映画監督)
軽快なリズムとともにリストラの嵐で荒れる現代と言う時代を巧みに表現しながらも深く考えさせられる作品である。
従業員の解雇という厳しい仕事を専門として全米を飛行機で周り続ける主人公ライアン(ジョージ・クルーニー)を通して、全存在をかけて仕事をしてきた人達の思いが伝わってくる。未来の見えない不安な思いに駆られている現代人の叫びが無理なく伝わってくる、そんな作品である。 |
藤原作弥(元日本銀行 副総裁)
『up in the air』を『マイレージ、マイライフ』とは翻案の妙。“マイレージ依存”で全米を毎日のように飛び回るワーカホリックなリストラの達人の生活信条、それは地に足のつかない“宙に浮いた”空疎なものだったが、同業他社の恋人や上昇志向の部下との出会いで目覚めていく。
「現代社会の不毛」という問題意識が卓越。リストラ続出のリーマンショック後のアメリカの雇用状況がよく判った。 |
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馬場 彰
(株式会社オンワードホールディングス 名誉顧問)
長編映画第一作と思えないフレッド・カヴァイエの演出は、冗漫さが全く見えずに、スピード感に溢れ、観る者を圧倒する。然もヴァンサン・ランドンとダイアン・クルーガーの意気のあった迫力ある名演技が、96分という短い時間での凝縮に成功。少ないセリフで余りある効果をあげている。緊迫感ある一級のスリラーとしてお勧めしたい。 |
浅香光健(浅香流演劇舞踊名取)
フランスの名優ヴァンサン・ランドンが普通の男が戦う男に変身していく生き様を見事に演じる。ダイアン・クルーガーが無実に苦しむ美しい妻と母を好演。フランス映画のサスペンスドラマの傑作、必見。 |
山形泰雄(元株式会社松屋 副社長)
筋立ては、平凡で幸せな家庭に突発的に起きた不幸な出来事。残された夫は、幼い息子を守りながら、重大な決断をするというもの。愛する者を救う為には、自らを捨ててでも闘わなくてはならないという男気や愛情を熱っぽく語る。
物語としては、フランス映画独特のフィルムノワール的な面白さもあるのだが、実は人間性を描いて奥深い。この作品がデビュー作になるフレッド・カヴァイエ監督の才は、一瞬たりとも画面から眼を離させないほどの切迫感で圧倒してくる。 |
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